2008年7月15日火曜日

大橋也寸の報告ーワークショップ&オーディション 7月12日、13日

今度の一番の収穫はダンスを教えた相原マユコ。
全身の骨組み、筋肉を一つづつ、ストレッチし、意識させ柔軟性を積み上げていく。
私が芝居でやりたいことと同じレヴェルに詳しい。
彼女はロンドンのラバン・センターで2年間勉強してきた。
帰国して後、ダンスグループ j.a.m.dance theatre を創り公演活動をしている。
かたはら、外国人のワークショップに参加したり、ヨガの勉強を重ねて、あそこまでの方法論をつくりあげた。ほんとにめでたい、よかったよかった。
目下は私の稽古に来て研修助手として演出の勉強をしている。

ワークショップ参加者は女性ばかり4人。
一人は芝居経験が無い。一日目でギヴアップした。二人組みになった相手の目が見られない。日常生活でのコミュニケーション経験が無いと見える。
感受性はよさそうなのに、分からないことに耐えられなかったらしい。残念。
もう一人は進化型演劇プロデュ-ス・ムーンビームマシンのメンバー。
ダンスレッスンとヴォイストレーニングのレッスンを受けている。身体がよく動く。
彼女のやりたい方向と我々のめざすものとの隔たりが大きい。
知らない分からないことばっかりだったらしい。
挑戦する気があるなら受け入れることにした。
後の二人は近大の今年の卒業生。
私と芝居をしたこともあるから、面白いかもしれないけれど難しい実験をしていることは承知している。
一人は自分のグループを持ち作家・演出家・俳優をやっている。
ワークショップの参加だけの希望。
残った近大卒業生は挑戦してみようかな、という気配。

私のやっている芝居は、アメリカやヨーロッパ映画にも見られるような、「今を生きる」人間の表現を目指すもの。そのためには私が卒業し、教師でもあったジャック・ルコック国際演劇学校の方法をつかっている。だから私と芝居をしたことのある俳優が外国映画に出演して評価されている。違和感がないらしい。しかし日本で行なわれている演劇とは遠い。
ルコックのテーマは想像力に訴えるというか、それにかけている。それが難しい。
そこで解決策として、「二人で組んで相手の目をみながらダンスをする」ことと、「そっくりに人真似をする」という方法を考えた。
人の目を見てダンスをすれば、「ウケ」と「アタック」という芝居の基本が身につく。
ダンスの間にほかのメンバーと目が合えば相手を変える。
こうして舞台全体が意識できるようになる。音楽に酔って自分の内面が変わる。
「人真似」は、内側のリズムをまねることで人物が自分の中に入って、別の人生が見える。
役作りのスタート台に立てたわけ。
ここからはどんなデフォルメも、ひいてはスタイルの創造が可能になる。



講師として参加してくださった、
j.a.m. Dance Theatre 振付家、相原マユコさんの感想です。

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普段はダンス関係の人とのつながりが多いのですが、私自身、自分の作品性の変化などを通じて、お芝居をしている人々へのワークショップにとても興味があったので、今回はとても良い経験になりました。
実は五月にぎっくり腰をやってから、なかなか体が動かず、その部分は少々心配でしたが、なんとか無事終了してホッとしています。
今回のWSを通して一人でも多くのメンバーがパフォーマーとして自分の身体の可能性とあきらめずに対話しつつ、例えば簡単なストレッチなどから体をトレーニング、メンテナンスするという習慣が始まれば、と願います。
WS後半部分のシチュエーション即興を見ていて思ったのは、背骨と筋肉の使い方が雑かも…ということ。特に人物像をつくる時に、結構みんな姿勢(その人物がしているであろう)から入る割には大ざっぱな真似になってしまうから、その人物が出す声や手足の使い方まで連動しないのかな?ここで背骨の一つ一つ、指先の筋肉にまで意識が行き届くと、きっともっともっとおもしろい人物、おもしろい感情が生まれるのでは?と、期待せずにはおれません。
これからの彼らを楽しみにしつつ、私もこつこつと学びたいと思っています。

相原 マユコ

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