2008年7月28日月曜日

近大3期生石川健太のレポート:也寸の授業

①自分の人生を表現する音楽

この課題を出されたのは、たくさんいる也寸の生徒の中でも、オレらの代が初めて。也寸自身、
「今回初めて課題として生徒に出してみるんよ、上手くいくかいねぇ…。」って言ってたもん。

要するに自分の人生を、
自分の好きな音楽を自由に繋ぎ合わせて表現する、というもの。

このお題、オレはすごく楽しみで、一所懸命に音楽繋いで作っ
た。

オレは泉谷しげるの叫びから始まって、
ブルーハーツと尾崎の曲が交互に出てくる感じのものを流した。
これは也寸に大いに褒められたんだけど、
次に登守さんが音楽流したときに、也寸が良いこと言ったので
覚えてる。

「登守のも全体的には良かったよ。たださ、さっきの健太のはさ、健太の孤独が聞こえたけどさ、アンタのはそれが無かったよ。孤独がないと、人生って表現でけへんのよ。そこが足らなんだね。残念!」

この言葉は、何を表現する上でも、
すごく大事なことじゃないか、とオレはそのとき思ったし、
今も生きてる。

②春夏秋冬

一回生のときのだね。
体を動かして、春と夏と秋と冬を連続で表現する課題。
これなんで覚えてるかっていうと、みんなやたらに冬が上手か
ったの。

春はなかなか気持ちを弾けられない、
夏は自分を内から取り出して力強く動かせない、
けど、秋からみんな徐々に表現が上手くなってきて、
冬はほぼ全員が出来た。

それを見たときの感想が
「内にこもるような世代なのかなぁ。 だから、自分の内を向くような、秋や冬の季節ばかり上手いのかな。」
ということ。
これは也寸が言ったのか、オレがそう思ったのかは覚えていないけど、でも当時、オレら世代の本質の部分のような気がした。
ほら、今も色んな事件があるでしょ。マニアックな事件がさ。
結局さ、こういう性質から来てるのかもしれないな、ってことでさ。
ちょっとこれは、個人的な感想すぎたか。


③初めてのショートショートショー(近大学園祭での演劇科のだしもの)

一回生の秋。初めてのショートショートショーで、オレや馬場ちゃんやルパン、あと女性複数名で、妙な芝居を作った。
カウンターしかない飲み屋に客が一人で入ってきて、でも店の中の人間が集団でおかしな動きばかりしているので、客がとにかく怯える、というもの。
その名も「集団心理症候群」。

これを也寸に見せたときに、激怒された。
「アンタらさ、観念的よ!もっと自分の心で思ってること、ないんかいね!」
この一言は大きかった。

観念的? 初めて聞いたが、どういう意味だろう?
オレと馬場ちゃん、ルパンが長いこと話し合って、女性陣と一緒にやるのはやめて、
服部哲ちゃんも加えて4人で作ったのが、

「ザ・ブルー・ハート ~方言の彼方へ~」

っていうやつ。
オレら全員地方出身だったから、そこを活かして大阪に来たときに受けた方言の違いによる差別(?)を、オレが大好きなブルーハーツの替え歌に合わせて、ひたすら4名で歌って踊った。
「かしわ」ってなんだ?とか。

オレが名古屋弁、ルパンが群馬弁(本当はそんなの無いらしいが)…みたいに。

これは好評だったんだよね。続編も出来たし。
で、そのときに学んだのが、観念的ってものは表現とは言えないし、誰かの心を揺さぶるようなものじゃないんだ、ってこと。
大事なのは心で感じていることなんだな、と。

長くなるけど、余談も。
学園祭が終わったあとに、也寸がショートショートショーの振り返りをしてて、
「あの方言のショート(ブルーハートね)は良かったよ。ナンセンスでさ!」
と褒めた。思わず褒められたオレが
「先生! ナンセンスって何すか?!」って聞いたら、也寸が
「…モンティパイソンよ!」
と答えた。今思えばなんて乱暴な答なんだ!
と思うんだけど、これはこれで良くわかった。

④自分の部屋

小さい頃の自分の部屋に、大人になった自分が戻ってくる、
という課題。
オレのはともかく(いや、悪くなかったけどね)、
覚えているのは一回生の最後の方にやったときのこと。

美穂が演技していて、小さな木琴かなんかで曲を奏でた。

このときね、也寸が
「良かったよ! 音が聞こえたよ!」と言った。周囲が「えぇ~?!聞こえたかぁ?!」
みたいな反応になっていて、修がオレに小声で「聞こえた…?」って聞いてきた。

けどね、オレ、このとき聞こえたんだよ。
美穂はチューリップを弾いたんだ。オレ、音どころか、曲が聞こえた。

なんでこれが印象に残ってるかっていうと、すごく単純で、演技ってイメージを持ってやれば、
音なんか出てないのに音まで聞かせられるんだ!って単純な驚き。

ってことはさ、もしかしたら、演技だけでオーケストラみたいなことだって出来るかもしれな
い!ってことでしょ?

演技って、なかなかたいしたもんだなぁ、と思った。

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